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石の水面をたゆたう人へ

 谷根千を主題とする拙ブログで人形町の鯨を紹介したのは 2005年のことです。当時は作者である、松橋博さんとも中田浩嗣さんとも全く面識がありませんでした。2007年に松橋さんからコメントを頂き、谷中の自宅兼アトリエを改装し「ギャラリー TEN」をオープンさせることを初めて知りました。そして同年 9月には中田浩嗣さんの初個展が開かれ、お会いすることが出来ました。(2007/9/11〜 9/30)
ギャラリーTEN


個展期間中のある日こんな事がありました。・・・
 中国から来日中の女性舞踏家が偶然ギャラリーを通りかかったそうです。閉廊時間を過ぎていましたが、松橋さんと中田さん、舞踏家の女性と友人らは身振り手振りを交え作品について語り夜は更けて、ひとしきり話が盛り上がった後に、即興でダンスを踊って欲しい、と頼まれたそうです。『そして彼女はこの水を湛えた石の上で無音で、しかし表現豊かなダンスを踊られた。』と、翌日にとても嬉しそうに、中田さんと松橋さんは私に語ってくれ、その場に居合わせなかった自分は大層悔しい思いをしたのでした。・・・
中田浩嗣
淡路島に生まれ育ち、芸術家の感性と、高度な職人技を併せ持った中田浩嗣氏は、石面に水を湛えて見せてくれました。石面のわずか 1mmの高低差に彫られ、生まれた水面は、風のさざめきや水底の様子をも表すかのように、いつもたゆたっていました。


たゆたう水を湛えた石の水面とともに、陽気で無邪気な中田さんの笑顔がいまもハッキリと目に浮かびます。
中田浩嗣

謹んで中田浩嗣氏のご冥福をお祈り申し上げます。

■ 「SANZUI」中田さんのこと(ギャラリー TEN
http://blogs.dion.ne.jp/blogten/archives/7390415.htmll

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コメント(6)

マエカワ :

突然に失礼いたします。こんな形で彼の笑顔に再会し、言葉がありません。きょう、なぜか彼のことが気になって、このブログを見つけてしまいました。昨年も、偶然、ネットで個展開催のことを知りました。その時、どうして見に行かなかったのかと悔やまれてなりません。ごめんなさい。彼とは高校の同級生です。高校時代、わたしの中で、きらきらと輝く人でした。あの頃と変わらない笑顔を見ると、涙があふれます。亡くなったなんて、とても信じられません。あまりのショックで、文章がメチャクチャで申し訳ありません。彼に会いに時々覗かせていただくことをお許しください。

マエカワさん、はじめまして。
中田さんの笑顔は本当に無邪気で、周囲の人たちを和ませてくれました。あの笑顔は決して忘れることが出来ません。そして残された作品は、決して多くはありませんでしたが、深く心に刻まれています。昨年の個展の時には既に死と向き合っていた、と伺っています。どうしたら、あんな風に明るく笑っていられたのでしょう・・・。亡くなられる数日前まで、車椅子で運ばれながら作業現場に、ご自分の仕事の進行を見に来られていたそうです。
最後まで丁寧に生きられた方だと思います。
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昨日、「柳の庭 」という店のオーナーと話をした際に、中田浩嗣さんのお話が出ました。彼女もまた、中田さんの以前からのお知り合いで、この庭の通路を中田さんに作ってもらうよう、個展を開いてもらえるよう、相談していたのだそうです。庭の通路を眺めながら「この道は永遠に未完成なのです。」と言われた言葉を聞きながら、きっと美しかったであろう、水の流れを象った石の通路を想像しました。

本当に、惜しい人を亡くしてしまったと思います。

マエカワ :

やまださん、はじめまして。マエカワです。
昨夜は、ご挨拶もしないで失礼いたしましたのに、やさしいお言葉をありがとうございます。
昨夜から、ずっと彼のことを想っています。彼の笑顔のむこうに、絶望や苦悩など微塵も感じられません。最後まで、まっすぐに前を向いて力強く生きたのですね。そう思うと、また、涙があふれてきます。
わたしは、彼にどうしても謝りたいことがあったのです。30年以上も前のことなど、彼はすっかり忘れてしまっていたでしょうか。覚えていたとしても、あの笑顔で許してくれたでしょうか。昨年行かなかったこと、ほんとうに後悔しています。
「千の風になって」の詞にあるように、彼は風になって、こんなわたしのところへ来てくれたのかもしれません。「ここにいるよ。ここへおいで」と、ささやいてくれたのかもしれません。命に限りがあることを日常はすっかり忘れてしまっていますが、わたしも、いつか風になります。その時、もし彼に会うことができたら、「ごめんなさい」と言いたいと思っています。
「柳の庭」のHP拝見しました。彼の作品が似合いそうなステキお店ですね。もしかしたら、オーナーの彼女も同窓生なのでしょうか。

マエカワさん、
あまりご自分を責めなさらずに。謝意を胸に置きながら、また他の方へ誠意を返しながら生活されるとが、ご供養になるのではないでしょうか。
「柳の庭」のオーナーは、仕事で知り合われた、と伺っています。今日は仕事で人形町にあります、鯨の像の前を通り、泪の如きゆるやかな噴水を流し続けていました。谷中に限らず、日本の街の此処彼処で、中田さんのなされた仕事は、生き続けいるようです。

マエカワ :

やまださん、おはようございます
突然の訃報に驚いて私事を書き込んでしまい、本当に申し訳ありませんでした。少し落ち着いて参りました。やまださんのおっしゃるように、そう在りたいと思いますし、機会があれば、ぜひ彼の作品に逢いに行きたいとも思っております。
ありがとうございました。

マエカワさん、こんにちは。
ブログを始めてから多くの方とお会いする機会に恵まれるにつれて、「一期一会」という言葉を強く思うことがあります。旅行者や居を移す人。人だけでなく野良猫や花々、店舗や建物。二度と出会えないであろう風景や人に、丁寧に出会い、心に記憶しなければいけないなあ、とよく思います。・・・水紋を石に刻むように。

(実際は、後悔と言い訳の日々ですけれど・・・。)

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このページは、やまだが2008年7月15日 21:42に書いたブログ記事です。

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